南大東島旅行 (2):島の中心部、在所地区を歩いて感じる不思議な違和感
ところで実のところ、南大東島を目的地に決めた時点ではどんな歴史や地質学的な成立の仕方をした島なのかはもちろん、位置だってろくに知らずにいました。本当に、「えいやっ」と決めた目的地だったからです。
その位置は沖縄本島から実に400km東、宮崎県の南であり、島の大きさは海岸線にして21.2kmです。空から見ていると飛行場が大きな面積をもっているので小さな島にみえますが、車で移動しなければいけない程度にはスケールの大きな島なのです。
島の中心部、在所地区を歩く
冒頭の写真は今回お世話になった「ホテルよしざと」。空港からの送迎もありますし、ホテルの女将さんや、おやじさんから興味深い話がたくさん聞けてアットホームな感じの宿です。背の高い建物がなかなかない南大東島で、島の中心である在所地区の真ん中にある緑色で四階建てのこのホテルは散歩中の目印にもなります。
宿についてどうしようかと思ったのが、島の位置もあやしいくらいですから、実はついてから何をするか、何も決めていなかった点です。こういうときはまず行動。宿で地図をもらってでかけてみます。
すぐに見つけたのがこちら、島で唯一の信号です。
あとで車を借りて島を走り回ってわかるのですが、たしかに島では信号はまるで必要がありません。しかしそれでは学校で子供たちに交通ルールを教えることができませんので、たいていは学校の近くに一つ、信号が設置してあるのだそうです。この信号も、南大東中学校の近くにありました。
島に来た目的の一つが、南大東地方気象台の高層気象観測、つまりラジオゾンデの気球が空に昇るところをみることです。
地方気象台は在所地区のはずれにありますのでまずは位置を確認しにいきました。この写真の左側にびっくり箱のように開いているのが、ラジオゾンデの自動放球装置ですね。
気象台の近くを歩いていると目を引いたのがこちら、ポール・W・キャラウェイ高等弁務官の胸像です。ここで「はて?」となります。「えっと…誰? なぜ高等弁務官の胸像が?」
こちらがキャラウェイ高等弁務官の事跡が書かれた碑石ですが、いろいろとキーワードがわかりません。「日本企業の沖縄進出を許すことなく」「離日政策」「土地所有権」これらの言葉のうしろに重大な意味を感じ取りつつも、背景がわからないわけです。なので、その「わからないこと」は不思議な違和感となって脳裏に残ったのです。
もう少し歩くと、大東製糖の大きな煙突が見えてきます。この日は煙が上がっていません。そして煙突の側面には「さとうきびは島を守り、島は国土を守る」という標語がみえます。
ここでも「はて?」と不思議な感覚が。サトウキビという、この島の最も大きな産業が島を守るというのはわかります。でも国土とは?
何も知らずに訪れたために感じたこれらの違和感は、これから南大東島を知ってゆくにつれて、次第に明らかになるのでした。
ひとまずは、背の高いサトウキビの畑のさきに落ちる夕日の鮮やかさを楽しみつつ、散歩に満足して宿に帰ります。
さて、次回は、島ならではの魚、ナワキリ料理の紹介です!