閲覧から参加へ。Facebook Live Video は VR をにらんだソーシャルメディアの未来
ついにきたか、というのが最初の印象です。
Facebookにライブ動画の機能が追加され、最初はアメリカの少数のユーザーから、そして次第に全ユーザーが生放送でつながることができるようになると発表されています。
ライブ動画については、すでに Twitter 社のPeriscope が、そして Blab といったウェブサービスが先行して存在しますし、もっというなら Google の Hangouts On Air、Ustream、ニコニコ生放送といったサービスも存在します。
しかし今回のニュースが大きいのは、動画サービスから始まって、SNS に直結しているアプリに進化した生放送という分野が、世界最大のソーシャルネットワークの一機能としてとりこまれた点です。Facebookは投稿を閲覧する場所から、アクティブに参加する空間に変貌しようとしているのです。
世界規模の「今」を提供する
もともとFacebookはすでに多くの人が忘れている Mentions というアプリが、有名人に限りライブ動画を実現していました。これはライブ動画の価値を、速報性だけに特化した考え方で、「みんなが今すぐ見たいものをみせる」ことに価値観をおいています。
それに対して Periscope などが鮮やかに示して見せたのは、いま友人がなにをしているかでつながるという「対面の共有」にも価値があるというソーシャルメディアの進化でした。実際、一日中iPhone を横において仕事をしていると、オーストラリアから、イギリスから、サンフランシスコから、私がフォローしたいと思っている友人がオンエアしている瞬間がやってきます。その瞬間だけ、私は彼らと一緒にいられるのです。
Facebook もそのことに当然気づいていて、今回ライブ動画の機能をFacebookの独立アプリではなく、メインの機能の一部として取り込んできたといえます。これはPeriscopeなどには衝撃ですし、SnapChatのような瞬間を共有しているサービスの喉元に突きつけた短剣でもあります。サービスのコアコンピタンスを、一機能にしてしまったのですから。
Wiredの記事がこのことを上手に表現していて、これを Facebook の新しい進化として捉えています。
So…why? First, because Facebook is desperate to feel live and immediate the way Snapchat and Twitter do. It wants to be something you have to be part of, not just something you browse at your leisure.
なぜ、こんなことをするのか? 第一に、Facebook はSnapChatやTwitterがそうであるように、ライブ感覚をもったサービスになりたいからだ。暇がある時に閲覧する場所ではなく、アクティブに参加する場になりたいのだ。
これはたんに一対一のビデオチャットとしてつながるという意味ではなく、一人対多数、あるいは多くの人が参加するリアルタイムの場を提供することを目指したものであるというわけです。コメント欄が、動画になったと考えてもいいでしょう。
VR を取り込めば、人と人の対面が仮想化される
ここで思い出したいのは、VR (バーチャル・リアリティ)界で有名なデバイス Oculus Rift 社をすでにFacebook が買収している点です。ライブ動画をVRで体験できるようになれば、あとはわかりますよね?
このライブ動画の機能はある人の投稿に対して遅延したコメントでやりとりをするのではなく、Facebookにおける人間関係のネットワークを背景としたVR環境内で人と人の対話が行われるになる未来に向けてかけられた橋だというわけです。
当然この流れはFacebookだけではなく、Googleなども追随するでしょう。ライブ動画がクールなアプリから、生活に必須のインフラに成長するのも時間の問題です。
VR で離れた会議に出席する、友人と会話する、大学で学ぶ、瞬間を共有する、場所などというものを意味のないバリヤーとしてとりはらってゆく。こうした未来を予感させる、これはその一歩なのです。
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