[英語メモ] This: 最初に習う単語の、もう一つの使い方

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“This” 「この」「その」を意味する、英語を習う時に最初に覚える単語です。でもインターネット掲示板などでは2009年ころから、もう一つの使い方が流行していて、知らないと意味が伝わりにくいかもしれません。

日本で言うところの「それな」

たとえばFacebookなどで、本質をついた書き込みをしたひとや、見事になにかを指摘したひとに対して、コメントで「まさにそれ」「本当にそのとおり」といった一行だけのコメントをすることがあります。

単体で、一行コメントで用いる “This” は、これと同じ意味合いで使われます。最近でいうと、一時期よくつかわれた「それな」が近い雰囲気かもしれません。あるいは、「激しく同意」「禿同」も近いでしょう。

ときとして、“This” は指を上にむけている人物の写真とともに使われることがあり、「上のコメントのいうとおり」という意味を示していることもあります。


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こうして “This” が画像とともに利用されるために、逆にコメント欄には「^」という一文字が書かれる場合も時折見ます。日本で言うなら「↑」に相当する矢印を意味していて、上を指し示していることで “This” と読ませているのですね。

面白いのは、ソーシャルメディアにおいて一行で、何も付け加えることもなく同意をコメントするニーズは洋の東西を問わず存在することです。それは「その通り」といった意味内容を伝えることも目的の一部ですが、 “This” 「それな」といったように、たった数文字で断ずることができる素早さも重視されている気がします。

伝えるべき感情と、それを伝える時の素早さに対する必要性が、こうした “This” の用法を生み出している。そして同じ力学が日本語にも存在する。そうした「書き込み時間」に基づいた言語の進化という視点も学問的な視点として興味深いといえるでしょう。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。

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