TL;DR。長すぎて読みきれない記事に使うひとこと表現 [英語メモ]

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ご高齢の方に多いのですが、学会の公開シンポジウムで質疑応答の時間になると、すっと手を上げて質問のていで自説を長々と開陳するする人がたまにいます。

それと似ているのですが、ソーシャルメディア、特にFacebookでも投稿された話題になにか文句があるのか、コメントに何十行もの「自説」を開陳するひとがいます。

そうしたときに使われるのがこの「TL;DR」です。“Too long; Didn’t read” の略で、直訳すると「長すぎて読まなかったよ」になります。

自分で使う場合もある、TL;DR表現

コメントが長ければ長いほど、さらりと書かれる「TL;DR」は暗に「迷惑だよ」という意思を伝えていて、しかも「以下略」を「ry」と書くくらい面倒臭がっている雰囲気をもっているので、第三者をクスリと笑わせます。一方で、多用されすぎて、TL;DRと書かれたコメントが自動的にスパム認定されることもあるようです。

この表現が誕生した場所は不明ですが、最初に Urban Dictionary サイトに登録されたのは2003年の1月と、かなり古い表現です。しかし大々的に使用されるようになったのは、やはりFacebookなどのソーシャルメディアが広まってからになります。

しかしこのTL;DR、いまでは一人歩きして別の目的でも用いられるようになっています。

たとえば長い記事を書いてその要約を自分で書いているときに、「要約すると」という意味で「the TL;DR version is…」と書いたりします。「長すぎて読みきれないよというひと向けの要約」といったほどの意味ですね。

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また、ウェブメディアのVergeは比較的長いコラムにTL;DRというコーナーを設けています。

短いニュース記事とは別に、長い論説記事は “Longform” と呼ばれており、新聞やウェブメディア、あるいはMediumといったサービスが様々なLongformを提供しています。

煽り文句としてうまれたTL;DRですが、面白いものならば長いコメントだって、長い記事だって読みたくなるものです。そうした、面白いものを読みたい、面白くないものには時間を一切使いたくないというせっかちな気持ちの生み出したjargonが、TL;DRなのです。

さて、この記事も TL;DR と言われる前に、手短に締めくくっておくことにしましょう。

カテゴリ「英語メモ」について

ふだん欧米メディアを読んでいると、「これは辞書にはのっていないな」と思うミームや、ネット表現に多数出会います。最初は掲示板の片隅で使われていたものが、一般的にソーシャルメディアで利用され始めたり、辞書に載るようになることも。

このカテゴリでは、そうした英語サイトで出会う、ちょっと珍しい表現や使い方をメモ的に拾い集めておこうと思います。そのうち、小さな辞書になるかもしれません。

堀 E. 正岳(Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。

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