外国文学の名作を20分で読める分量で届けるSerial Reader
ありとあらゆる割り込みや、別の誘惑がある忙しい世の中にあって、座って読書をする習慣を身につけるのはなかなか難しいことかもしれません。いわんや、それが19世紀頃に書かれた英文学の名作ともなると、好きな人でもなければついていけません。
iOSのアプリ、Serial Readerは、真っ向からとりくむと大きすぎるように思える読書を、約15分から20分程度で読むことのできるサイズに分割して、毎日それを届けるというアプリです。対象となっているのは著作権がきれている過去の洋書の名作ばかり。
しかも、なかなかちゃんと考えられていて、次の断片が届くのが楽しみになる場所で区切ってくれているのです。これは、とても楽しい!
Serial Readerの仕組み
Serial Reader の Serial は、「連続」という意味です。アプリをひらくと、さまざまなジャンルにわかれた作品の一覧を見ることができます。
冒険小説、アメリカ文学、ロシア文学。ブロンテ姉妹にわざわざカテゴリがわけてあって作者のお気に入りっぽいのがいいですね。イギリス文学が少ないのは著作権の関係でしょうか。
特に長い作品のカテゴリを見ると、何回に分かれているのかがわかります。モンテクリスト伯が208号、カラマーゾフの兄弟が152号ですね。一日20分だから意識しないかもしれませんが、69時間、51時間に相当します。そんなものですよね。
モンテクリスト伯は途中から手が止まらなくなるのでもっと速く読めそうですが、このアプリは先読みをさせてくれません。毎日、設定した時間に次の号が届くのを、新聞小説のように待たないといけないのです。
並行読書に最適
とりあえず、英語では読んだことがなかったブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を登録してみました。リーダー画面はフォントとその多きさ、画面の横幅と色のテーマを選択することができます。
いくつかの本を登録して読んでみたところ、単純に分量でばっさりと切っているのではなく、ある程度筋を追いかけて、その日はここで切ってよかろうという場所を選んでいる形跡があります。
また、ゲーミフィケーションの要素も盛り込まれていて読書を何日連続で行ったのかが表示される仕組みになっています。
明日までは次の節を読むことができませんので、興味を持ってどんどんと読み進めたい本よりも、長い時間をかけて平行して読んでおきたい本を割り当てて、数ヶ月で読み上げるという読書に最適です。
現時点では、いくつかバグがあるようですし、ソーシャルメディアへの投稿などといった機能はないようですが、作者はアクティブに開発をおこなっているようですのでそのうち追加されることでしょう。
日本版を作ってみたい。いや、作ろう
即座に思ったのは、こうしたアプリの日本版がほしいという点です。似たようなものはすでにあると思いますが、自分の好きな作品を、適当とおもわれる分量に分けてゆくのも面白そうです。また、同様の本を何人が読んでいて、どの部分まで読み進めたのか、どこで挫折したのかといった情報を集約するのもいいでしょう。
これは Swift の手習いに良さそうなので、まずは自分用にアプリを作ってみようかなと思います。完成したら公開しますね。